急性リンパ性白血病ALL) 完治目指治療再発難治新薬治療

監修:東京慈恵会医科大学附属第三病院腫瘍・血液内科客員診療医長 薄井紀子先生

2018.9 取材・文:星野美穂

•急性リンパ性白血病(ALL)/リンパ芽球性リンパ腫(LBL)とは

•急性リンパ性白血病の症状

•急性リンパ性白血病の検査と診断

•急性リンパ性白血病の染色体検査と遺伝子検査

•急性リンパ性白血病の「完全寛解」を目指した治療

•再発・難治性の急性リンパ性白血病の治療

•急性リンパ性白血病の同種造血幹細胞移植

•小児・AYA世代の急性リンパ性白血病の治療

 早ければ週単位で病状が進んでいく急性リンパ性白血病は、初診と同時に入院が必要となることも少なくない、治療の緊急度が高い疾患です。治療の第一目標は、強力な化学療法によって「完全寛解」を得ることです。その後は、地固め療法、維持療法と数年をかけて治癒を目指します。最近は、再発・難治例のための新規薬剤も次々に登場し、治療効果への期待が高まっています。

急性リンパ性白血病ALL/リンパ芽球性リンパLBLとは

 白血病は、血液細胞のがんです。血液中にある赤血球、血小板、白血球の血液細胞をつくる細胞が骨髄でがん化し、がん化した細胞が骨髄内で増殖して占拠するため、正常な血液細胞が減少し、感染症にかかりやすくなったり、貧血になったり、出血しやすくなったりなどさまざまな症状が起こります。

 骨髄の中にある造血幹細胞は、赤血球、白血球、血小板などのすべての血液細胞のもとになる細胞として自己複製しながら、一方でさまざまな血液細胞へ分化していきます(図1参照)。造血幹細胞は、骨髄系の細胞とリンパ系の細胞に分化します。さらに骨髄系は、赤血球、血小板と、白血球のうちの顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)と単球へ分化します。リンパ系細胞は、白血球のうちT細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)、NK細胞というリンパ球へと、成熟・分化して、血液の中に出ていきます。

 白血病は、骨髄性やリンパ性、あるいは急性と慢性といった分類があります(表1参照)。血液の元となる細胞のうち、骨髄系細胞ががん化したものを骨髄性白血病、リンパ系細胞ががん化したものをリンパ性白血病といいます。さらに、それぞれ急性と慢性の白血病があります。急性の白血病では、骨髄の中で急速にがん細胞が増加して貧血や血小板減少、あるいは白血球の増加や減少をもたらし、発熱や貧血、出血傾向などの急性の症状が出現します。慢性の白血病では、そのような急性症状を呈しません。 急性リンパ性白血病(ALL:acute lymphoblastic leukemia、急性リンパ〔芽球〕性白血病)は、リンパ球が未成熟な段階のリンパ芽球の状態でがん化し急速に増え続ける病気で、急性の症状が現れます。

 ALLと同じく、リンパ芽球ががん化する白血病に、リンパ芽球性リンパ腫(LBL:lymphoblastic leukemia)があります。両者は、同じ病気で同じ治療を行います。違いは、がん化したリンパ芽球細胞が主に増殖する場所が骨髄の内か外かという点です。

 リンパ芽球は、骨髄の造血幹細胞から作られると、血液に乗って流れていき、全身のリンパ節で成長します。ALLでは、がん化したリンパ芽球が主に骨髄のなかで増殖します。LBLは、がん化したリンパ芽球が骨髄の外で増殖するものです。増殖する場所の多くは、脾臓や肝臓、頸部のリンパ節などです。

 初期段階で、骨髄中の白血病細胞の割合が25%以上であればALL、25%未満であればLBLと診断上は区別されています。

 ALLの年間発症数は、10万人に2~3人程度と考えられています。ALLは小児に多く、小児急性白血病の約8割がALLです。一方、成人ではすべての白血病のうち、約2割がALLとされています。

図1 造血幹細胞と血液の分化

도표 생략

表1 白血病の主な分類

骨髄性

リンパ性

急性

急性骨髄性白血病

(AML: acute myeloid leukemia)

急性リンパ性白血病

(ALL: acute lymphoblastic leukemia)

慢性

慢性骨髄性白血病

(CML: chronic myelogenous leukemia)

慢性リンパ性白血病

(CLL: chronic lymphocytic leukemia)

急性リンパ性白血病症状

 急性リンパ性白血病の主な症状は、腫瘍化したリンパ芽球が骨髄のなかで増殖し、正常な血液を作る機能が妨げられることで現れるものと、腫瘍化した細胞が血流に乗り、さまざまな臓器やリンパ節に住みついて現れるものに分かれます(表2参照)。

 正常な血液が作られないと次のような症状が現れます。白血球が不足すると、身体の抵抗性が低下し、ウイルスや細菌による感染を起こしやすくなります。赤血球が減少すると、だるい、眠い、疲れやすい、動悸、息切れといった貧血の症状が出ることがあります。また血液を凝固させる機能をもつ血小板が減少すると、出血しやすくなり、鼻血が出る、アザができやすくなるといった症状が現れます。

 血流に乗ったリンパ芽球が臓器に侵入して増殖すると、リンパ節が腫れてしこりができたり、肝臓や脾臓が腫れてお腹が張ったりします。リンパ節や脾臓の腫れは成人のALLの約半数でみられます。中枢神経系に浸潤することも多く、物が二重に見えたり、頭痛や顔面の痺れなどが起こることもあります。

 このようにさまざまな症状が現れますが、急性リンパ性白血病に特有の症状はなく、症状から特定するのは難しい病気です。

 症状が全く出ない人もいます。こうした人は、健康診断などで血液の異常を指摘され、初期に病気が判明することが少なくありません。

表2 急性リンパ性白血病の主な症状

造血機能が妨げられて現れる症状

全身倦怠感(だるさ)、動悸・息切れ、めまい、易出血性(鼻血など)、紫斑(アザ)、皮下出血、感染症

発熱・盗汗〔多量の寝汗〕・体重減少

白血病細胞が臓器やリンパ節に住みついて現れる症状

リンパ節の腫れ

肝臓や脾臓の腫れ(お腹が張る、痛い)

中枢神経系への浸潤(頭痛、吐き気・嘔吐、顔面のしびれ、視覚異常など)

骨への浸潤(腰痛、関節痛)

歯茎の腫れ、痛み

急性リンパ性白血病検査診断

 急性リンパ性白血病の診断には、血液検査と骨髄検査を行います。さまざまな手法で分析を行い、専門機関であれば急性白血病であることはすぐに診断でき、3日〜1週間ほどでどのようなタイプの急性白血病かという診断も確定します。

 血液検査では、白血球、赤血球、血小板などの血球数の増減を調べます。また顕微鏡で細胞を観察し、白血病細胞(がん化したリンパ芽球)の有無を確認します。

 骨髄検査では、腰の腸骨という骨に針を刺して骨髄液を採取し、染色体や遺伝子、細胞表面マーカーなどを調べます。

 細胞表面抗原マーカー検査では、腫瘍細胞の表面に発現している抗原の有無とタイプを見分けます。がん化したリンパ球の種類が、T細胞なのかB細胞なのかなども調べます。

 血液検査や骨髄検査と並行して、CTやレントゲンによる検査を行います。これは身体の中に病気がどのくらい広がっているかを確認するための検査です。

急性リンパ性白血病染色体検査遺伝子検査

 染色体検査では、フィラデルフィア染色体(Ph)の有無を確認します(図2参照)。フィラデルフィア染色体は、成人の急性リンパ性白血病で最も多い染色体の異常で、4人に1人に生じています。フィラデルフィア染色体がある場合をPh陽性、ない場合をPh陰性と呼びます。フィラデルフィア染色体は、BCR-ABL遺伝子の変異によって生じます。遺伝子検査では、このBCR-ABL遺伝子など特徴的に現れることのある遺伝子の変異の有無を検出します。

 Ph陽性の急性リンパ性白血病では、フィラデルフィア染色体の遺伝子から作られる異常なタンパク質(BCR-ABLチロシンキナーゼ)が白血病細胞を増殖させることが知られています。

 以前は、Ph陽性の予後は悪いと言われていました。しかし、BCR-ABLチロシンキナーゼを攻撃する新しい種類の抗がん剤(BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤)が開発されて、治療成績が飛躍的に向上しました。現在、Ph陽性の治療には、このBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤が使われます。Ph陽性かPh陰性かを知ることは、治療を組み立てるうえで非常に重要です。

図2 フィアデルフィア染色体(Ph)とBCR-ABL遺伝子

도면 생략

急性リンパ性白血病完全寛解目指した治療

 急性リンパ性白血病は進行が非常に早い病気です。治療をしないと週単位で容体が変化していきます。できるだけ速やかに治療を開始する必要があり、急性リンパ性白血病が予想されたら、確定診断を待つことなく、治療のベースとなるステロイドの投与が開始されることもあります。

 治療の目的は、「完全寛解」の状態にすることです。「完全寛解」は、骨髄中の白血病細胞の割合が5%以下になった状態です。ただし、この病気は再発しやすいため、さらに治療を行い、白血球細胞を徹底的に叩いておく必要があります。そのため治療は、複数の抗がん剤を用いて白血病細胞を一気に減らすことを目標とする「寛解導入療法」、完全寛解が得られた後にさらに白血病細胞を減らすために行う「地固め療法」、さらに、完全寛解を維持するために行う「維持療法」の3つのステップで行います。

 「寛解導入療法」は3〜4週間、「地固め療法」が1年程度、「維持療法」は1〜2年くらい行います。

Ph陰性の治療――抗がん剤の多剤併用療法

 急性リンパ性白血病の治療は、Ph陰性かPh陽性かによって異なります(図3参照)。

 Ph陰性の場合、ステロイドと、ビンクリスチン(製品名:オンコビン)、L-アスパラキナーゼ(製品名:ロイナーゼ)といった抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法を行います。この治療は入院して行います。Ph陰性場合、約80%の患者さんがこの寛解導入療法で完全寛解に至ります。

 地固め療法は、寛解導入療法で用いた複数の抗がん剤に、メトトレキサート(製品名:メソトレキセート)やシタラビン(製品名:キロサイド)などの別の種類の抗がん剤も加えて治療を行います。この治療も入院して行います。

 寛解導入療法や地固め療法で得られた完全寛解を維持するために行うのが、維持療法です。主に外来で、経口の抗がん剤を中心にした治療を1〜2年ほど続けます。維持療法が終了した段階で寛解が維持されていれば、治療は終了します。その後定期的な観察続けて、長期間の完全寛解を得て、治癒を目指します。

 維持療法までを経て完全寛解が得られたとしても、白血病は再発しやすい病気です。そのため、定期的な診察と検査は続けていく必要があります。

図3 急性リンパ性白血病の治療アルゴリズム(成人)

Ph陽性急性リンパ性白血病

↓ ↓

若年者

高齢者

↓ ↓

TKI+多剤併用化学療法

TKI+ステロイド療法

↓ ↓ ↓ ↓

寛解

非寛解

寛解

非寛解

↓ ↓ ↓ ↓

地固め療法

救援療法

地固め療法

救援療法

↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↑

可能な場合同種移植

維持療法

再発

可能な場合同種移植

維持療法

再発

造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版を参考に作成

Ph陽性の治療――チロシンキナーゼ阻害薬

Ph陰性急性リンパ性白血病

↓ ↓

若年者

非若年者

↓ ↓

小児プロトコル

寛解導入療法

↓ ↓

寛解

非寛解

↓ ↓

地固め療法

救援療法

↓ ↓ ↓

維持療法

可能な場合同種移植

可能な場合同種移植

 

造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版を参考に作成

Ph陽性の治療――チロシンキナーゼ阻害薬

Ph陽性の急性リンパ性白血病の場合、寛解導入療法において、上記の抗がん剤に加えてチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を併用します。これは、BCR-ABL遺伝子によってつくられるBcr-Ablタンパクをターゲットにし、Bcr-Ablタンパクが活性化するスイッチをオフにする分子標的薬です。TKIは複数の薬剤が発売されていますが、第一選択薬として使用されるのはイマチニブ(製品名:グリベック)です。Ph陽性の患者さんに対して、イマチニブを併用した多剤併用療法を行った場合、寛解率は90%以上です。

 TKIは、ニロチニブ(製品名:タシグナ)、ダサチニブ(製品名:スプリセル)、ボスチニブ(製品名:ボシュリフ)の第二世代と言われる薬も登場し、治療選択肢が広がっています。

 さらに第三世代薬として発売されたポナチニブ(製品名:アイクルシグ)は、上記の薬が効かなくなってきた(耐性が生じた)ときに使用される薬です。

 Ph陽性の急性リンパ性白血病は、以前は抗がん剤にあまり効果が得られないことが多く、使える薬も少なかったのですが、今は治療の選択肢が増えてきています。最初の薬で効果が出なくても、次の手が用意されているので、治療をあきらめず続けていただきたいと思います。

再発難治性急性リンパ性白血病治療

 治療薬が効かず寛解に至らない、寛解したが再発したなど「再発・難治性」の患者さんに対しては、「救援療法」が行われます。最初の治療で効果が見られていれば同じ抗がん剤を、効果がなかった場合は別の抗がん剤を試していきます。これらは、研究段階の治療であり、これまで再発・難治性の急性リンパ性白血病の寛解率は30~50%と低いものでした。

 2018年4月、再発・難治性の急性リンパ性白血病の治療薬として、イノツズマブオゾガマイシン(製品名:ベスポンサ)が発売になりました。がん細胞表面抗原マーカーであるCD22を目印としてがん細胞内に抗がん剤を運ぶことで効果を発揮するもので、CD22陽性の急性リンパ性白血病に使える薬です。CD22はB細胞性の急性リンパ性白血病のほぼすべてで発現しています。臨床試験において80%以上の高い寛解率を示し、期待が寄せられています。

 さらに、米国や欧州連合(EU)では、再発または難治性のB前駆細胞性の急性リンパ性白血病の治療薬としてブリナツモマブ(製品名:ビーリンサイト)が承認されています。これは、がん細胞表面抗原マーカーのCD19と結合して正常なT細胞の免疫力を高めることにより抗がん作用を発揮する新しいタイプの薬で、日本でも2018年9月25日、再発または難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬として、承認されました。

 

急性リンパ性白血病同種造血幹細胞移植

 抗がん剤による治療で体内の白血病細胞を減らしたあとに、提供者(ドナー)から採取された造血幹細胞を移植する治療です。移植された造血幹細胞が骨髄機能を回復し、正常な血液を作るのと同時に、体内に残っている白血病細胞を攻撃して白血病の再発を抑えます。

 ただし、同種造血幹細胞移植は、白血球の型が一致する造血幹細胞のドナーが必要です。兄弟など血縁者に白血球の型が一致する人がいる場合、考慮される治療法です。患者さんの全身状態や年齢、移植によって起こる可能性のある合併症のリスクなどをよく考えて、検討する必要があります。

小児AYA世代急性リンパ性白血病治療

 小児と成人では、使用される薬剤はほぼ同じものが使われますが、使い方が異なります。小児では、薬の投与間隔を短くして休薬期間を設けない投与法(プロトコル)で強い治療を行います。副作用も激しく現れますが、小児のほうが副作用に耐える体の力が強いこともあり、高い治療効果が得られ、完全寛解率も8~9割と高いです。

 最近、小児のプロトコルを若い成人世代に使うようになってきました。AYA世代と呼ばれる19〜30歳くらいの患者さんは、成人のプロトコルでは治療成績が芳しくありませんでした。ところが、小児プロトコルでは治療成績が上がることがわかり、若年者にも使用されるようになってきました。現在、小児プロトコルを使う年齢を少しずつ上げていく研究が行われています。

プロフィール

薄井紀子(うすい・のりこ)

1979年 東京慈恵会医科大学医学部卒業

1979年 東京慈恵会医科大学附属病院内科研修医

1981年 東京慈恵会医科大学第三内科入局

1988年 米国国立衛生研究所・国立癌研究所(NCI/NIH)に留学

2000年 東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科診療部長

2008年 東京慈恵会医科大学附属第三病院 腫瘍・血液内科部長

2013年 東京慈恵会医科大学教授・同附属第三病院 輸血部診療部長

2018年 東京慈恵会医科大学客員教授・同附属第三病院

腫瘍・血液内科客員診療医長

급성림프성백혈병(ALL) 완치를 지향하는 치료와 재발, 난치의 신약 치료

도쿄 자혜 의과대학 부속3병원 종양·혈액내과 객원 진료의장 우스이 노리코 박사

2018.9 취재. 글: 호시노 미호

. 급성 림프성 백혈병(ALL)/림프 아구성 림프종(LBL)이란?

. 급성 림프성 백혈병의 증상

. 급성 림프성 백혈병의 검사라고 진단

. 급성 림프성 백혈병의 염색체 검사와 유전자 검사

. 급성 림프성 백혈병의 "완전 관해"를 목표로 한 치료.

. 재발·난치성의 급성 림프성 백혈병의 치료

. 급성 림프성 백혈병의 동종조혈모세포이식

. 소아-AYA세대 급성 림프성 백혈병 치료

 

빠르면 주 단위로 병세가 진행되는 급성 림프성 백혈병은 초진과 동시에 입원이 필요한 경우도 적지 않은, 치료의 긴급도가 높은 질환입니다. 치료의 제일차 목표는, 강력한 화학 요법에 의해서 "완전 관해"를 얻는 것입니다. 그 후에는, 고정 요법, 유지 요법과 그리고 수년에 걸쳐 치유를 목표로 합니다. 최근에는, 재발·난치 사례를 위한 신규 약재도 차례차례로 등장해, 치료 효과의 기대가 높아지고 있습니다.

급성 림프성 백혈병(ALL)/림프 아구성 림프종(LBL)이란?

 백혈병은 혈액세포 암입니다. 혈액 속의 적혈구, 혈소판, 백혈구의 혈액세포를 만드는 세포가 골수에서 암화가 되고 암화 된 세포가 골수 내에서 증식해 점거하기 때문에 정상적인 혈액세포가 감소하여 감염증에 걸리기 쉬워지거나 빈혈로 변하거나 출혈하기 쉬워지는 등 여러 증세가 발생할 수 있습니다.

 골수 안에 있는 조혈모세포는 적혈구, 백혈구, 혈소판 등의 모든 혈액세포의 뿌리가 되는 세포로서 자기복제를 하면서, 한편으로 다양한 혈액세포로 분화해 갑니다(그림 1참조). 조혈모세포는 골수계의 세포와 임파 계의 세포로 분화합니다. 게다가 골수 계는, 적혈구, 혈소판과 백혈구 중의 과립구(호중구, 호산구, 호염기구)와 단구로 분화합니다. 림프계 세포는, 백혈구 중 T세포(T림프구), B세포(B림프구), NK세포라고 하는 림프구로, 성숙·분화하여, 혈액 안에 나옵니다.

 백혈병은 골수성이나 림프성, 또는 급성과 만성이라는 분류가 있습니다(표 1 참조).혈액의 근원이 되는 세포 가운데, 골수계 세포가 암으로 변한 것을 골수성 백혈병, 림프계 세포가 암화 한 것을 림프성 백혈병이라고 합니다. 게다가 각각 급성과 만성 백혈병이 있습니다. 급성 백혈병에서는 골수 속에서 급속하게 암세포가 증가하여 빈혈이나 혈소판 감소, 혹은 백혈구의 증가와 감소를 가져와 발열, 빈혈, 출혈 경향 등 급성 증상이 나타나게 됩니다. 만성 백혈병으로는 그런 급성 증상을 보이지 않아요. 급성 림프성 백혈병(ALL:acute lymphoblastic leukemia, 급성 림프[아구]성 백혈병)은 림프구가 미성숙한 단계의 림프 아구 상태로 암화 되어 급속히 증가하는 병으로, 급성 림프화 증상이 나타납니다.

 ALL과 같이, 림프 아구가 암화 하는 백혈병에, 림프 아구성 림프종 (LBL:lymphoblastic leukemia)이 있습니다. 양자는 같은 병으로 같은 치료를 합니다. 차이는 암화 한 림프 아구 세포가 주로 증식하는 장소가 골수 속인가 밖인가 하는 점입니다.

 림프 아구는 골수의 조혈모세포에서 만들어지면 혈액을 타고 흘러가 전신인 림프절로 성장합니다. ALL에서는, 암화 한 림프 아구가 주로 골수 속에서 증식합니다. LBL는, 암화 한 림프 아구가 골수 밖에서 증식하는 것입니다. 증식하는 장소의 상당수는, 비장이나 간, 경부 림프절 등입니다.

 초기 단계에서 골수 중 백혈병 세포의 비율이 25%이상이면 ALL, 25%미만이면 LBL라고 진단 상에는 구별됩니다.

 ALL의 연간 발병 수는 10만 명당 2~3명 정도로 추정됩니다. ALL은 소아에게 많으며, 소아급성 백혈병의 약 80%가 ALL입니다. 반면, 성인에서는 모든 백혈병 중 약 2할이 ALL로 알려져 있습니다.

그림1 생략

표1 : 백혈병의 주요 분류

골수성

림프성

급성

급성골수성백혈병

(AML: acute myeloid leukemia)

급성림프성백혈병

(ALL: acute lymphoblastic leukemia)

만성

만성골수성백혈병

(CML: chronic myelogenous leukemia)

만성림프성백혈병

(CLL: chronic lymphocytic leukemia)

급성 림프성 백혈병 증상

 급성 림프성 백혈병의 주된 증상은, 종양화한 림프 아구가 골수 속에서 증식해, 정상적인 혈액을 만드는 기능을 방해하는 것으로 나타나는 것과 종양화한 세포가 혈류를 타고, 다양한 장기나 림프절에 살아서 나타나는 것으로 나누어집니다(표 2참조).

 정상적인 혈액을 만들지 못하면 다음과 같은 증상이 나타납니다. 백혈구가 부족하면, 신체의 저항성이 저하되어, 바이러스나 세균에 의한 감염을 일으키기 쉬워집니다. 적혈구가 감소하면, 나른한, 졸림, 피로하기 쉬운, 가슴 두근거림, 숨쉬기 등의 빈혈의 증상이 나오는 일이 있습니다. 또 혈액을 응고 시키는 기능을 가지는 혈소판이 감소하면, 출혈이 잘 생기고, 코피가 나며, 멍(혹은 반점)이 생기기 쉬워지는 등의 증상이 나타납니다.

 혈류를 탄 림프 아구가 장기에 침입해 증식하면 림프절이 부어 응어리가 생기기도 하고 간이나 비장이 부어 배가 붇기도 합니다. 림프절이나 비장의 부종은 성인의 ALL의 약 절반으로 보입니다. 중추 신경계에 침윤하는 일도 많아, 물건이 이중으로 보이거나 두통이나 안면의 저림 등이 일어날 수도 있습니다.

 이처럼 여러 증세가 나타나지만 급성 림프성 백혈병에 특유의 증상이 없어 증상으로 지정하기 어려운 병입니다.

 증세가 전혀 나지 않는 사람도 있어요. 이러한 사람은, 건강 진단 등에서 혈액의 이상을 지적받아 초기에 병이 판명되는 일이 적지 않습니다.

표2 : 급성 림프성 백혈병의 주요 증상

조혈기능이 방해를 받아 나타나는 현상

전신 권태감, 동계, 숨 가쁨, 어지럼증, 출혈(코피 등), 자반, 피하출혈, 감염증

발열 . 도한 (다량의 한 밤중 땀) . 체중감소

백혈병세포가 장기나 림프절에 자리 잡아서 나타나는 현상

림프절의 부종

간과 비장의 부종 (배가 붓고 통증이 있다)

중추신경계에 침윤 (두통, 구역질 . 구토, 안면마비, 시각이상 등)

뼈로 침윤 (요통, 관절통)

잇몸의 부종, 통증

급성 림프성 백혈병의 검사와 진단

 급성 림프성 백혈병의 진단에는, 혈액 검사와 골수 검사를 실시합니다.다양한 방법으로 분석을 실시해, 전문기관이면 급성 백혈병인 것은 곧바로 진단할 수 있고, 3일~1주간 정도로 어떠한 타입의 급성 백혈병인가 하는 진단도 확정합니다.

 혈액 검사에서는, 백혈구, 적혈구, 혈소판등의 혈구수의 증감을 조사합니다.또 현미경으로 세포를 관찰해, 백혈병 세포(암화한 임파아구)의 유무를 확인합니다.

 골수 검사에서는, 허리의 장골이라고 하는 뼈에 침을 찔러 골수액을 채취해, 염색체와 유전자, 세포 표면 마커등을 조사합니다.

 세포표면항원마커 검사에서는, 종양 세포의 표면에 발현하고 있는 항원의 유무와 타입을 분별합니다.암화한 림프구의 종류가, T세포인지 B세포인지 등도 조사합니다.

 혈액 검사나 골수 검사와 병행하여, CT나 X레이에 의한 검사를 실시합니다.이것은 몸 안에 병이 얼마나 퍼지고 있는지를 확인하기 위한 검사입니다.

급성 림프성 백혈병의 염색체 검사와 유전자 검사

 염색체 검사에서는, 필라델피아 염색체(Ph)의 유무를 확인합니다(그림 2 참조). 필라델피아 염색체는 성인의 급성 림프성 백혈병에서 가장 많은 염색체의 이상으로 4명 중 1명으로 있습니다. 필라델피아 염색체가 있는 경우를 Ph 양성, 없는 경우를 Ph음성이라고 부릅니다. 필라델피아 염색체는 BCR-ABL 유전자의 변이로 인해 생겨납니다. 유전자 검사에서는, 이 BCR-ABL 유전자 등 특징적으로 나타나는 유전자의 변이의 유무를 검출합니다.

 Ph양성의 급성 림프성 백혈병에서는, 필라델피아 염색체의 유전자로 만들어지는 비정상인 단백질(BCR-ABL 티로신키나아제)이 백혈병 세포를 증식시키는 것이 알려져 있습니다.

 이전에는, Ph양성의 예후는 나쁘다고 들었습니다. 그러나 BCR-ABL 티로신키나아제를 공격하는 새로운 종류의 항암제(BCR-ABL 티로신키나아제 저해제)가 개발되어, 치료 성적이 비약적으로 향상되었습니다. 현재 Ph 양성 치료에는 이 BCR-ABL 티로신키나아제 저해제가 사용됩니다. Ph양성인가 Ph음성인가를 아는 것은, 치료를 조립하는데 있어서 매우 중요합니다.

그림2 :필라델피아 염색체와 BCL-ABL 유전자 그림 생략

개념 정리 : 22번 염색체의 BCR 유전자와 9번 염색체의 ABL 염색체가 하나가 되어 생기는 융합 유전자가 BCR-ABL 유전자로, 이것이 급성 림프성 백혈병의 원인이 된다.

급성 림프성 백혈병의 '완전 관해'를 목표로 한 치료

 급성 림프성 백혈병은 진행이 매우 빠른 병입니다. 치료를 하지 않으면 주 단위로 병세가 변화해 갈 것입니다. 가능한 한 신속하게 치료를 개시할 필요가 있어, 급성 림프성 백혈병이 예상되면, 확정 진단을 기다리는 일 없이, 치료의 베이스가 되는 스테로이드의 투여가 개시되기도 합니다.

 치료의 목적은, "완전 관해"상태로 하는 것입니다. 완전 관해는 골수 속 백혈병 세포의 비율이 5% 이하가 된 상태입니다. 단 이 병은 재발하기 쉬우므로 치료를 더욱 하여 백혈구 세포를 철저히 두드릴 필요가 있습니다. 그 때문에 치료는, 복수의 항암제를 이용해 백혈병 세포를 단번에 줄이는 것을 목표로 하는 "관해 도입 요법", 완전 관해를 얻은 후에 한층 더 백혈병 세포를 줄이기 위해서 실시하는 "지지요법"의 3개의 스텝으로 실시합니다.

 "관해 도입 요법"은 3~4주간, "고정(굳히기) 요법"이 1년 정도, "유지 요법"은 1~2년 정도 실시합니다.

Ph음성 치료 - 항암제 다제 병용요법

 급성 림프성 백혈병의 치료는, Ph음성인가 Ph양성인가에 따라서 다릅니다(그림 3참조).

 Ph음성의 경우, 스테로이드와 빈크리스틴(제품명 : 온코빈), L-아스파라키나아제(제품명 : 로이나아제)라고 하는 항암제를 조합한 다제 병용 요법을 실시합니다. 이 치료는 입원해서 합니다. Ph 음성일 경우 약 80%의 환자들이 이 관해도입요법으로 완전 관해에 이릅니다.

 고정 요법은, 관해 도입 요법으로 이용한 복수의 항암제에, 메토레키 사트(제품명 : 메소트렉세이트)나 시타라빈(제품명 :킬로사이드)등의 다른 종류의 항암제도 더해 치료를 실시합니다. 이 치료도 입원해서 합니다.

 관해 도입 요법이나 다지기 요법으로 얻은 완전 관해를 유지하기 위해서 실시하는 것이, 유지 요법입니다. 주로 외래이며, 경구의 항암제를 중심으로 한 치료를 1~2년 정도 계속합니다. 유지요법이 종료된 단계에서 관해가 유지되어 있으면 치료는 종료됩니다. 그 후 정기적인 관찰을 계속해 장기간의 완전 관해를 얻고, 치유를 목표로 합니다.

 유지요법까지 거쳐 완전 관해를 얻는다 해도 백혈병은 재발하기 쉬운 병입니다. 그 때문에, 정기적인 진찰과 검사는 계속해 갈 필요가 있습니다.

그림3 급성 림프성 백혈병의 치료 알고리즘 (성인)

Ph(필라델피아 염색체) 양성 급성 림프성 백혈병

↓ ↓

젊은 사람

고령자

↓ ↓

TKI+다제 병용 화학요법

TKI+스테로이드요법

↓ ↓ ↓ ↓

관해

비관해

관해

비관해

↓ ↓ ↓ ↓

다지기(기초)요법

구원요법

다지기(기초)요법

구원요법

↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↑

가능한

경우, 동종이식

유지요법

재발

가능한

경우, 동종이식

유지요법

재발

Ph(필라델피아 염색체) 음성 급성 림프성 백혈병

↓ ↓

젊은이

비 젊은이

↓ ↓

소아 프로토콜

관해도입요법

↓ ↓

관해

비관해

↓ ↓

다지기9기초)요법

구원요법

↓ ↓ ↓

유지요법

가능한

경우, 동종이식

가능한

경우, 동종이식

 

※ 조혈기 종양 진료 가이드라인 2018년 판 참고하여 작성

Ph양성 치료-티로신키나아제 억제제

 Ph양성의 급성 림프성 백혈병의 경우, 관해 도입 요법에서, 상기의 항암제에 가세해 티로신키나아제 저해제(TKI)를 병용합니다. 이것은 BCR-ABL 유전자에 의해 만들어진 Bcr-Abl 단백을 표적으로 하여 Bcr-Abl 단백이 활성화되는 스위치를 끄고 있는 분자표적제입니다. TKI는 복수의 약제가 발매되고 있습니다만, 제1 선택제로서 사용되는 것은 이마티닙(제품명 : 그리벡)입니다. Ph양성 환자에 대해 이마티닙을 병용한 다제 병용요법을 시행했을 경우, 관해율은 90%이상입니다.

 TKI는, 닐로티닙(제품명 : 타시그나), 다사티닙(제품명 : 스프리셀), 보수티닙(제품명 : 보수리프)의 제2세대라고 하는 약도 등장해, 치료 선택사항이 퍼지고 있습니다.

 게다가 제3세대 약으로서 발매된 포나티닙(제품명 : 이클루식)은, 상기의 약이 듣지 않게 되었을(내성이 생긴) 때에 사용되는 약입니다.

 Ph양성의 급성 림프성 백혈병은 이전에는 항암제에 별로 효과를 보지 못하는 경우가 많아 쓸 수 있는 약도 적었지만 지금은 치료 선택지가 늘고 있습니다. 최초의 약으로 효과가 나오지 않아도, 다음의 것이 준비되어 있기 때문에, 치료를 포기하지 않고 계속해 주셨으면 합니다.

재발 · 난치성 급성 림프성 백혈병의 치료

 치료약이 듣지 않아 관해에 도달하지 못하고, 또 관해가 되었지만 재발하는 등 "재발·난치성"의 환자에 대해서는, "구원 요법"이 이루어집니다. 최초의 치료로 효과를 봤다면 같은 항암제를, 효과가 없을 경우에는 다른 항암제를 시험해 갑니다. 연구단계의 치료였으며, 지금까지 재발·난치성의 급성 림프성 백혈병의 관해율은 30~50%로 낮았습니다.

 2018년 4월, 재발·난치성의 급성 림프성 백혈병의 치료약으로서 이노츠즈마브오조가 마이신(제품명 : 베스폰서)이 발매되었습니다. 암세포 표면 항원 마커인 CD22를 목표로 암세포 내에 항암제를 운반함으로써 효과를 발휘하는 것으로, CD22양성의 급성 림프성 백혈병에 사용할 수 있는 약입니다. CD22는 B세포성 급성 림프성 백혈병 임상시험에서 80% 이상의 높은 관해율을 나타내며 기대를 모으고 있습니다.

 게다가 미국이나 유럽연합(EU)에서는, 재발 또는 난치성의 B전구 세포성의 급성 림프성 백혈병의 치료약으로서 브리나츠모맙(제품명 : 비린 사이트)가 승인되었습니다. 이것은, 암세포 표면 항원 마커의 CD19와 결합해 정상적인 T세포의 면역력을 높이는 것에 의해 항암 작용을 발휘하는 새로운 유형의 약으로, 일본에서도 2018년 9월 25일, 재발 또는 난치성의 B세포성 급성 림프성 백혈병의 치료약으로서 승인되었습니다.

 

급성 림프성 백혈병 동종 조혈모세포 이식

 항암제로 인한 치료로 체내 백혈병 세포를 줄인 후 제공자(드너)로부터 채취한 조혈모세포를 이식하는 치료입니다. 이식된 조혈모세포가 골수기능을 회복하여 정상적인 혈액을 만드는 동시에 체내에 남아 있는 백혈병 세포를 공격하여 백혈병의 재발을 억제합니다.

 단, 동종조혈모세포이식은 백혈구의 형태가 일치하는 조혈모세포의 제공자가 필요합니다. 형제 등 혈연 중에 백혈구의 형태가 일치하는 사람이 있는 경우, 고려되는 치료법입니다. 환자의 전신 상태나 연령, 이식에 의해서 일어날 가능성이 있는 합병증의 위험 등을 잘 생각해, 검토할 필요가 있습니다.

소아 . AYA세대 급성 림프성 백혈병 치료

 소아와 성인에는, 사용되는 약제는 거의 같은 것을 사용합니다만, 사용법이 다릅니다. 소아에는, 약의 투여 간격을 짧게 해 휴약 기간을 마련하지 않는 투여법 혹은 치료 계획서(프로토콜)으로 강한 치료를 실시합니다. 부작용도 격렬하게 나타나지만, 소아가 부작용을 견디는 몸의 힘이 강하기도 해, 높은 치료 효과를 얻을 수 있어 완전 관해율도 8~9할로 높습니다.

 최근, 소아의 프로토콜을 젊은 성인 세대에 사용하게 되었습니다. AYA 세대로 불리는 19~30세 정도의 환자는, 성인의 프로토콜로는 치료 성적이 좋지 않았습니다. 그런데 , 소아 프로토콜에서는 치료 성적이 오르는 것을 알 수 있어 젊은 사람에게도 사용되게 되었습니다. 현재 소아 프로토콜을 사용하는 연령을 조금씩 올려 가는 연구를 하고 있습니다.

프로필

우스이 노리코

1979년 도쿄 자혜회 의대 졸업

1979년 도쿄 자혜회 의과대학 부속 병원 내과 연수의사

1981년 동경 자혜회 의과대학 제3내과 입국

1988년 미국 국립위생연구소 국립암연구소(NCI/NIH) 유학

2000년 도쿄 자혜회 의과대학 부속병원 혈액·종양내과 진료부장

2008년 도쿄 자혜회 의과대학 부속 제3병원 종양·혈액내과 부장

2013년 도쿄 자혜회 의과대 교수· 부속 제3병원 수혈부 진료부장

2018년 도쿄 자혜회 의과대학 객원교수·동 부속 제3병원 종양·혈액내과 객원진료의장

 

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