慢性骨髄性白血病CML) 早期寛解導入治癒目指最新治療

監修:がん・感染症センター都立駒込病院 血液内科・臨床試験科部長 大橋一輝先生

2018.9 取材・文:町口充

•慢性骨髄性白血病とは

•慢性骨髄性白血病の症状、検査、診断

•慢性骨髄性白血病の治療

•慢性骨髄性白血病の新たな治療戦略

•慢性骨髄性白血病の薬の選択と副作用

•慢性骨髄性白血病の造血幹細胞移植

 かつて慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞移植をしなければ治癒は望めない病気といわれていましたが、原因となる遺伝子をターゲットにした分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬:TKI)が2001年に登場すると、治療は一変しました。今では第二世代、第三世代の薬も開発され、早期に病気を抑えれば、服用を続けながら通常の生活を送れるようになり、同時に、深い寛解を得て、薬の服用をやめることを目指した治療を行う時代になっています。

慢性骨髄性白血病とは

 白血病は、血液細胞のがんです。血液中にある赤血球、血小板、白血球の血液細胞をつくる細胞が骨髄でがん化し、がん化した細胞が骨髄内で増殖して占拠してしまうため、正常な血液細胞が減少し、感染症にかかりやすくなったり、貧血になったり、出血しやすくなったりなどさまざまな症状が起こります。

 骨髄の中にある造血幹細胞は、赤血球、白血球、血小板などのすべての血液細胞のもとになる細胞として、自己複製しながら、一方でさまざまな血液細胞へ分化していきます(図1参照)。造血幹細胞は、骨髄系の細胞とリンパ系の細胞に分化します。そして、赤血球、血小板、および、白血球のうち顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)と単球へ分化します。リンパ系細胞は、白血球のうちT細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)、NK細胞というリンパ球へと、成熟・分化して、血液の中に出ていきます。

 白血病は、骨髄性やリンパ性、あるいは急性と慢性といった分類があります(表1参照)。血液の元となる細胞のうち、骨髄系細胞ががん化したものを骨髄性白血病、リンパ系細胞ががん化したものをリンパ性白血病といいます。骨髄の中で急速にがん細胞が増加して貧血や血小板減少、あるいは白血球の増加や減少をもたらし、発熱や貧血、出血傾向などの急性の症状が出現する急性の白血病と、そうした急性症状を呈しない慢性の白血病があります。

表1 白血病の主な分類

骨髄性

リンパ性

急性

急性骨髄性白血病

(AML: acute myeloid leukemia)

急性リンパ性白血病

(ALL: acute lymphoblastic leukemia)

慢性

慢性骨髄性白血病

(CML: chronic myelogenous leukemia)

慢性リンパ性白血病

(CLL: chronic lymphocytic leukemia)

 慢性骨髄性白血病(以下、CML)は、骨髄系の細胞ががん化したタイプで、未熟なものから成熟した細胞まですべてが骨髄の中で増加します。

 発症率は、日本においては人口10万人あたり1人程度です。中年以降の発症数が多く、発症年齢中央値は53歳であるため、高齢化の進展とともに患者数は増加傾向にあります。男女別では男性にやや多いと報告されています。

 原因となる遺伝子が特定されていないがんが多い中で、CMLは発生原因となる遺伝子が突き止められています。

 人間には46本の染色体がありますが、CMLの患者さんではこのうち9番と22番の染色体が一部入れ替わってつながった短い染色体が生じていることがわかっています(図2参照)。この染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれます。染色体が入れ替わってつながるとき、もともと22番染色体の上にあるBCR遺伝子と、9番染色体上にあるABL遺伝子が新たに結合してBCR-ABL遺伝子ができます。これが、CMLの原因遺伝子です。このBCR-ABL遺伝子は、細胞の中にBcr-Ablタンパクをつくります。このタンパクには特有のポケットがあり、ATPというエネルギー物質がポケットにつくとスイッチが入ってBcr-Ablタンパクが活性化します。Bcr-Ablタンパクは「白血病細胞を増やせ」という指令を出し、白血病細胞が無限に増えていくと考えられています。ただし、フィラデルフィア染色体がつくられる原因は不明です。

図1 造血幹細胞と血液の分化

図2 CMLの原因となるフィラデルフィア染色体とBCR-ABL遺伝子

慢性骨髄性白血病症状検査診断

 CMLの病状の特徴として、慢性期、移行期、急性期の3段階に分かれていることが知られています。慢性期では進行が遅く、また、増えてくる白血病細胞はこの時点では正常な血球とほぼ同じ機能を有しているため、自覚症状はほとんどありません。移行期になると成熟する能力を失った芽球が増え、白血球もさらに増えてくるので、貧血や全身のだるさ、発熱、脾臓の腫れでおなかが張ってくるといった症状が見られるようになります。急性期になると急性白血病と同じような症状があらわれるようになり、強い貧血や出血傾向、高熱などが出現します。

 CMLの85%は、慢性期で発見されています。企業健診や市区町村による健診などで血液検査を受けた際に白血球数の高値がわかるなどがきっかけとなり、この時点では半数の人が無症状です。白血球数はときに基準上限値の10倍以上になります。特に、好中球系の若い段階の幼弱な血球細胞が血中にあらわれることと好塩基球の増加がCMLのきわめて特徴的な所見です。

 血液検査でCMLが疑われたら骨髄検査を行います。腰にある腸骨から骨髄液を採取して調べます。骨髄中の細胞の数や種類を調べるとともに、染色体や遺伝子の検査もあわせて行い、フィラデルフィア染色体およびBCR‐ABL遺伝子の有無を確認することにより最終的な確定診断となります。

慢性骨髄性白血病治療

 BCR-ABL遺伝子の働きを抑え込む分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬:TKI)のイマチニブ(製品名:グリベック)が、2001年に登場しました。これによりCMLの治療成績が一気に向上しました。イマチニブは、BCR-ABL遺伝子によってつくられるBcr-Ablタンパクをターゲットにし、Bcr-Ablタンパクが活性化するスイッチをオフにする薬です。

 イマチニブとそれまでの標準治療であるインターフェロン+シタラビン(製品名:キロサイド)の併用療法とを比較した臨床試験の結果で、イマチニブの圧倒的な治療効果が示されました。

 この結果、生存期間の大幅な延長が可能となり、2000年ぐらいまでは“予後不良疾患”とされ、生存期間の中央値(治療を受けた集団の中でちょうど真ん中の人が生存した期間)が3~6年でしたが、イマチニブが登場した2001年以降は“予後良好疾患”に変わりました。

 従来の治療では、ドナーから提供された造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植が、治癒が得られる唯一の治療法とされていました。しかし、これによって60~70%の患者さんで長期生存・治癒が期待できる一方で、移植後の特有の合併症などが生活の質を低下させることなどが問題でした。これに対して、初回治療時でイマチニブの治療を受けた患者さんでは長期生存率が90%以上に達し、そのうちCMLが原因で亡くなった人はわずか5%に留まっていて、同種造血幹細胞移植を含む従来の治療法を大きく上回る成績であることから、現在ではCMLに対する治療の第1選択薬は分子標的薬と位置づけられています。

 さらに、イマチニブに続いて、第二世代のTKIであるニロチニブ(製品名:タシグナ)、ダサチニブ(製品名:スプリセル)、第三世代のボスチニブ(製品名:ボシュリフ)、ポナチニブ(製品名:アイクルシグ)も登場しました。治療の選択肢が広がっており、今では生存期間の中央値は25年以上といわれています。

慢性骨髄性白血病の治療効果の判定基準

 CMLでは次のような治療効果の判定基準があり、これをどこまでクリアできたかが重要となります。

 治療を始めて最初にクリアすべき基準は「血液学的完全寛解(CHR)」です。治療開始後、2週間に1回程度血液を採取して調べ、白血球数が1万未満、血小板数が45万未満、白血球数の内訳で幼弱な細胞がなく好塩基球が5%未満で、脾臓の腫れが見られなくなった状態です。

 次に3~6か月に1回程度、染色体検査を行い、フィラデルフィア染色体をもつ細胞が見つからなくなったら「細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)」と判断します。

 その後は、血液中の細胞のBCR-ABL遺伝子量を調べて、0.1%以下になると「分子遺伝学的効果(MMR)」と判断します。この検査で2回連続してBCR-ABL遺伝子がさらに低下して0.0032以下の場合、「分子遺伝学的完全寛解(DMR)」到達と判断されます。

慢性骨髄性白血病たな治療戦略

 日本でイマチニブが使われるようになってから20年近くがたちました。依然として初回治療の第1選択薬はイマチニブなのかというと、これには議論があります。

 たしかに基本的には第1選択の薬はイマチニブです。なぜなら、イマチニブは20年近い使用経験があり、長期の安全性が確かめられているうえに副作用に対する管理のノウハウが確立しています。加えて第二世代以降の薬剤に比し安価であることもあげられます。

 一方で、CMLが治る時代となり、治るということは薬の使用をやめても再発しない可能性のある時代になってきました。そこで出てきた考え方が、第一世代の薬であるイマチニブを使うより、より早く深い奏効が得られる第二世代の薬を初回治療のときから使ったほうが、早い段階でより深い効果が達成され、結果的に薬からも解放されやすくなるというものです。

 遠泳を例に説明します。患者のAさん、Bさん、Cさんがプールで同じスタートラインに立ち、同じ距離を泳ぎきってゴールすればBCR-ABL遺伝子量が0.1%以下になるMMR(分子遺伝学的効果)を達成できるとします。Aさんは6か月で泳ぎきってMMRを達成しました。一方、Bさんはその倍の1年かけて泳ぎきり、Cさんは3倍の1年半かけてゴールに達しました。

 「泳ぐ期間は短くても長くてもMMRを達成できる距離を泳ぎきればよいのではないか」と思いたいところですが、もしもこのプールにはサメが潜んでいたら話は変わります。長く泳いでいたら、それだけサメに襲われる危険性が増してしまいます。

 このため、現在は、初期治療を開始した数か月間の早い段階での治療効果(EMR:早期分子遺伝学的効果)をみて、薬剤の変更を検討するという方針がとられています。具体的には、イマチニブによる治療開始から3か月の時点でBCR-ABL遺伝子が10%以下、6か月の時点では1%以下になるというEMRを達成し、なおかつ副作用に対処して内服できていれば、そのままイマチニブを継続します。一方、EMRを達成できていない場合は、早い段階で薬をやめることを前提にしているならば、第二世代のニロチニブ、またはダサチニブに変更します。

 イマチニブとニロチニブ、ダサチニブで比べると、薬の効果はグリベックを1とするとニロチニブで20倍、ダサチニブで325倍と大きな差があります。このため、特に年齢の若い患者さんの場合は第二世代の薬を積極的に使うことを考慮してもよいでしょう。

 もう1つの理由は、TKIによる治療を行っている間は男性・女性を問わず避妊が必要なことです。将来、お子さんをつくる希望がある場合は、TKIを短期間で終わらせたいと思うのは当然のことでしょう。ある20代の男性の例ですが、ダサチニブによる治療の結果、DMRに到達して薬をやめて、大学生だった彼はその後就職して結婚。お子さんが生まれて幸せな家庭生活を送っています。

イマチニブのストップ試験

 CMRが得られたあとにTKIによる治療を中止することに関しては、すでに国内外での検討が行われています。

 2010年にフランスで行われた STIM試験(ストップ・イマチニブ・スタディ)では、「イマチニブ投与でCMRを達成したあとに投薬を中止したところ、2年後でも約40%がCMRを維持していた」との結果が明らかになりました。これまでは治療を中断すれば再発すると考えられ、「分子標的薬は治療効果が認められるかぎりは継続する」というのが治療の原則となっていました。同様の研究はオーストラリアでも行われていて、フランスの場合と同等の42%がCMRを維持していたとの報告があります。

 当院でのCMLに対するTKI中止症例16例についての検討では、50%の患者さんが中止後、再発もなく経過しています。また中止後に再発した症例でも、TKIの投与を再開すると以前と同様の効果があらわれています。

慢性骨髄性白血病選択副作用

 薬剤選択にあたっては副作用の問題も見逃せません。各TKIそれぞれで副作用は異なっています(表2参照)。このため、脳梗塞や血栓症、高血圧症など、ほかの病気を併せもつ患者さんに対しては、合併症を考慮して薬を使い分ける必要がありますが、TKIの中で最も副作用が穏やかなのがイマチニブです。

 定期的に行われる治療効果の判定から薬の効果が鈍っていることがわかった場合は、遺伝子変異の検査を行い、治療薬を変更します。現在は、どのような遺伝子変異が起こると、どのTKIが効かなくなるか、さらに、次の治療にはどのTKIを選択すべきかが明らかになっているので、適切な薬剤選択が可能となっています(表3参照)。

表2 TKIと副作用

薬剤名(製品名)

主な副作用

イマチニブ(グリベック)

浮腫、筋肉痛、悪心

ニロチニブ(タシグナ)

心電図異常・QT延長、膵炎、高血糖、肝障害、血管有害事象、末梢動脈閉塞

ダサチニブ(スプリセル)

胸水、骨髄抑制、肺高血圧、出血

ボスチニブ(ボリュリフ)

下痢、肝障害、高血圧

ポナチニブ(アイクルシグ)

血管有害事象、膵炎、肝障害、骨髄抑制、高血圧

表3 遺伝子変異と選択すべきTKI

遺伝子変異

抵抗性を示すTKI

選択すべきTKI

T315I

ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ

ポナチニブ

T315A、F317L/I/C

ダサチニブ

ダサチニブ、ボスチニブ

Y253H、F359V/C/I

ニロチニブ

ダサチニブ、ボスチニブ

V299L

ダサチニブ、ボスチニブ

ニロチニブ

E255K/V

ニロチニブ、ボスチニブ

スプリセル

慢性骨髄性白血病造血幹細胞移植

 また、TKIのいずれもが効かなくなった患者さんや、副作用が重くてTKIを使い続けることができない場合、あるいは診断時にすでに移行期や急性期である患者さんに対しては、造血幹細胞移植が検討されることがあります。移植する場合、白血球適合抗原(HLA)が完全一致、あるいは一抗原不一致のドナーを選ぶのが一般的ですが、適切なドナーがみつからないこともしばしばあります。特にHLAが一致した兄弟姉妹からの「同胞間移植」では、少子化に伴い同胞ドナーが得られないケースも増えています。そこで最近は、HLAが半分だけ一致しているHLA半合致ドナーからの移植が試みられるようになっています。

 ただし、HLA半合致移植は、血縁や骨髄バンク、臍帯血バンクでもドナーが見つからず、それでも移植の必要性が高い場合に行われるもので、慎重さが求められるのはいうまでもありません。

図3 慢性骨髄性白血病の治療アルゴリズム

그림 생략

プロフィール

大橋一輝(おおはし・かずてる)

1992年 東京医科歯科大学大学院修了。その後、東京医科歯科大学第一内科、

米国テキサス大学ヒューストン校医学部血液内科フェローを経験

1997年 がん・感染症センター都立駒込病院 血液内科医員

2012年 がん・感染症センター都立駒込病院 血液内科部長

만성 골수성 백혈병(CML), 조기에 관해 도입으로 치유를 목표로 하는 최신 치료

감수: 암·감염증 센터 도립 코마고메 병원 혈액내과·임상시험과 부장 오오하시 가즈테루 박사

2018.9 취재 : 마치구치 미츠루

. 만성 골수성 백혈병이란

. 만성 골수성 백혈병의 증상, 검사, 진단

. 만성 골수성 백혈병 치료

. 만성 골수성 백혈병의 새로운 치료 전략

. 만성 골수성 백혈병의 약의 선택과 부작용

. 만성 골수성 백혈병의 조혈모세포이식

 일찍이 만성 골수성 백혈병(CML)은 조혈간세포 이식을 하지 않으면 치유할 수 없는 병이라고 말했었지만, 원인이 되는 유전자를 표적으로 한 분자 표적제(티로신키나아제 저해제:TKI)가 2001년에 등장하자, 치료는 일변했습니다. 지금은 제2세대, 제3세대의 약도 개발되어 조기에 병을 억제하면, 복용을 계속하면서 통상의 생활을 보낼 수 있게 되고, 동시에, 깊은 관해를 얻어, 약의 복용을 그만두는 것을 목표로 한 치료를 실시하는 시대가 되고 있습니다.

만성 골수성 백혈병이란?

 백혈병은 혈액세포 암입니다. 혈중에 있는 적혈구, 혈소판, 백혈구의 혈액세포를 만드는 세포가 골수에서 암화 되어 암화 한 세포가 골수 내에서 증식해 점거해 버리므로, 정상적인 혈액 세포가 감소해, 감염증에 걸리기 쉬워지거나 빈혈이 되거나 출혈해 쉽게 되는 등 여러 가지 증상이 일어나게 됩니다.

 골수 안에 있는 조혈모세포는 적혈구, 백혈구, 혈소판 등의 모든 혈액세포의 기초가 되는 세포로서 자기복제를 하면서, 한편으로 다양한 혈액세포로 분화해 갑니다(그림 1참조). 조혈모세포는 골수계의 세포와 임파계의 세포로 분화합니다. 그리고 적혈구, 혈소판, 및 백혈구 중 과립구(호중구, 호산구, 호염기구)와 단구로 분화합니다. 림프계 세포는, 백혈구 중 T세포(T림프구), B세포(B림프구), NK세포라고 하는 림프구로, 성숙·분화하여, 혈액 안에 나옵니다.

 백혈병은 골수성이나 림프성, 또는 급성과 만성이라는 분류가 있습니다(표 1 참조).혈액의 근원이 되는 세포 가운데, 골수계 세포가 암화 한 것을 골수성 백혈병, 림프계 세포가 암화한 것을 림프성 백혈병이라고 합니다. 골수 안에서 급속하게 암세포가 증가하여 빈혈, 혈소판 감소, 혹은 백혈구의 증가와 감소를 가져오고 발열, 빈혈, 출혈 경향 등 급성 증상이 출현하는 급성 백혈병과 그 급성 증상을 나타내지 않는 만성 백혈병이 있습니다.

표1 : 백혈병의 주요 분류

골수성

림프성

급성

급성골수성백혈병

(AML: acute myeloid leukemia)

급성림프성백혈병

(ALL: acute lymphoblastic leukemia)

만성

만성골수성백혈병

(CML: chronic myelogenous leukemia)

만성림프성백혈병

(CLL: chronic lymphocytic leukemia)

만성 골수성 백혈병 (이하, CML)은, 골수계의 세포가 암화 한 타입으로, 미숙한 것부터 성숙한 세포까지 모두 골수 안에서 증가합니다.

 발병률은, 일본에서는 인구 10만 명 당 1명 정도입니다. 중년 이후의 발병수가 많아, 발병 연령 중앙치는 53세이기 때문에, 고령화의 진전과 함께 환자 수는 증가 경향에 있습니다. 남녀별로는 남성에게 약간 많은 것으로 보고되고 있습니다.

 원인이 되는 유전자가 특정되어 있지 않은 암이 많은 가운데, CML는 발생 원인이 되는 유전자가 밝혀지고 있습니다.

 인간에게는 46개의 염색체가 있습니다만, CML의 환자분에서는 이 중 9번과 22번의 염색체가 일부 교체되어 연결된 짧은 염색체가 생기고 있는 것을 알고 있습니다(그림 2 참조). 이 염색체는 필라델피아 염색체라고 불립니다. 염색체가 바꿔서 연결될 때, 원래 22번 염색체 위에 있는 BCR유전자와 9번 염색체상에 있는 ABL 유전자가 새롭게 결합해 BCR-ABL 유전자를 할 수 있습니다. 이것이 CML의 원인 유전자입니다. 이 BCR-ABL 유전자는 세포 안에 Bcr-Abl 단백질을 만듭니다. 이 단백질에는 특유의 포켓이 있어 ATP라는 에너지 물질이 주머니에 닿으면 스위치가 들어 있어 Bcr-Abl 단백이 활성화됩니다. 다만 필라델피아 염색체가 만들어지는 원인은 알 수 없습니다.

만성 골수성 백혈병 증상 검사 진단

 CML의 병상의 특징으로서 만성기, 이행기, 급성기의 3단계로 나뉘고 있는 것이 알려져 있습니다. 만성기에는 진행이 늦고, 증가하는 백혈병 세포는 이 시점에서는 정상적인 혈구와 거의 같은 기능을 가지고 있기 때문에 자각증세는 거의 없습니다. 이행기가 되면 성숙할 수 있는 능력을 잃은 아구가 증가해 백혈구도 더욱 늘어나기 때문에, 빈혈이나 전신인 메스꺼움, 발열, 비장의 부종으로 배가 불러오는 등의 증세가 나타나게 됩니다. 급성기가 되면 급성 백혈병과 같은 증상이 나타나게 되며, 강한 빈혈, 출혈 경향, 고열 등이 나타나게 됩니다.

 CML의 85%는, 만성기에 발견되고 있습니다. 기업 건강 진단이나 시구읍면에 의한 건강 진단 등에서 혈액 검사를 받았을 때에 백혈구 수의 높은 값을 알 수 있는 등이 계기가 되어, 이 시점에서는 반수의 사람이 무증상입니다. 백혈구 수는 때때로 기준 상한치의 10배 이상이 됩니다. 특히, 호중구계의 젊은 단계의 유약한 혈구 세포가 혈중에 나타나는 것과 호염기구의 증가가 CML의 지극히 특징적인 소견입니다.

 혈액검사에서 CML을 의심하시면 골수검사를 실시합니다. 허리에 있는 장골에서 골수액을 채취하여 조사합니다. 골수 중의 세포의 수나 종류를 조사하는 것과 동시에, 염색체나 유전자의 검사도 아울러 실시해, 필라델피아 염색체 및 BCR­ABL의 유전자의 유무를 확인하는 것으로 최종적인 확정 진단이 됩니다.

만성 골수성 백혈병 치료

 BCR-ABL 유전자의 기능을 억제하는 분자 표적제(티로신키나아제 저해제:TKI)의 이마티닙(제품명:그리벡)이 2001년에 등장했습니다. 이것에 의해 CML의 치료 성적이 단번에 향상되었습니다. 이마티닙은 BCR-ABL 유전자에 의해 만들어지는 Bcr-Abl 단백을 표적으로 하여 Bcr-Abl 단백질이 활성화되는 스위치를 끄고 있는 약입니다.

 이마티닙은 지금까지의 표준 치료인 인터페론+시타라빈(제품명:킬로사이드)의 병용 요법을 비교한 임상 시험의 결과로, 이마티닙의 압도적인 치료 효과가 나타냈습니다.

 "이 결과, 생존기간의 대폭 연장이 가능해졌고, 2000년 정도까지는 '예후 불량 질환'으로 꼽혀 생존 기간의 중앙치(치료 받은 집단 중 딱 중간 사람이 생존한 기간)가 3~6년이었지만, 이마티닙이 등장한 2001년 이후는 '예후 양호 질환'으로 바뀌었습니다."

 이전의 치료에서는 기증자로부터 제공된 조혈모세포를 이식하는 동종조혈모세포 이식이 치유될 수 있는 유일한 치료법이었습니다. 그러나 이것에 의해서 60~70%의 환자가 장기 생존·치유를 기대할 수 있는 한편, 이식 후의 특유의 합병증 등이 생활의 질을 저하시키는 것 등이 문제였습니다. 이것에 대해서, 첫 회 치료 시에 이마티닙의 치료를 받은 환자는 장기 생존율이 90%이상에 이르러, 그 중 CML이 원인으로 죽은 사람은 불과 5%에 머물고 있고, 동종조혈모세포 이식을 포함한 종래의 치료법을 크게 웃도는 성적이므로, 현재는 CML에 대한 치료의 제1 선택 약은 분자표적제로 자리 매김 되고 있습니다.

 게다가 이마티닙에 이어, 제2세대의 TKI인 닐로티닙(제품명:타시그나), 다사티닙(제품명:스프리셀), 제3세대의 보스티닙(제품명:보쉬리프), 포나티닙(제품명:아이클시그)도 등장했습니다. 치료의 선택사항이 넓어지고 있어, 지금은 생존 기간의 중앙치는 25년 이상이라고 합니다.

만성 골수성 백혈병 치료효과의 판정기준

 CML에서는 다음과 같은 치료 효과의 판정 기준이 있어, 이것을 어디까지 통과할 수 있었는가가 중요합니다.

 치료를 시작하여 가장 먼저 통과해야 할 기준은 [혈액학적 완전관해(CHR)]입니다. 치료개시 후 2주에 한 번 정도 혈액을 채취하여 조사해 백혈구 수가 1만 미만, 혈소판수가 45만 미만, 백혈구 수의 내역에서 유약한 세포가 없어 호염기구가 5% 미만이며 비장의 부종을 볼 수 없게 된 상태입니다.

 다음으로 3~6개월에 1회 정도, 염색체 검사를 실시해, 필라델피아 염색체를 가지는 세포가 발견되지 않게 되면 "세포 유전학적 완전 관해(CCyR)"라고 판단합니다.

 그 후는, 혈액중의 세포의 BCR-ABL 유전자량을 조사해 0.1%이하가 되면 "분자 유전학적 효과(MMR)"라고 판단합니다. 이 검사로 2회 연속해 BCR-ABL 유전자가 한층 더 저하해 0.0032이하의 경우, "분자 유전학적 완전 관해(DMR)" 도달이라고 판단됩니다.

만성 골수성 백혈병의 새로운 치료전략

 일본에서 이마티닙이 사용되기 시작한지 20년 가까이 지났습니다. 여전히 첫 회 치료의 제1 선택 약은 이마티닙이라는 말에는 논의가 있습니다.

 확실히 기본적으로는 제1선택의 약은 이마티닙입니다. 왜냐하면 이마티닙은 20년 가까운 사용 경험이 있으며, 장기간의 안전성이 확인되고 부작용에 대한 관리노하우가 확립되어 있습니다. 덧붙여 제2세대 이후의 약제에 비해 염가인 것도 들 수 있습니다.

 한편, CML을 치료하는 시대가 되어, 치료하는 것은 약의 사용을 그만두어도 재발하지 않을 가능성이 있는 시대가 되어 왔습니다. 거기서 나온 사고방식이 제1세대의 약인 이마티닙을 사용하는 것보다 빨리 깊은 주효를 얻을 수 있는 제2세대의 약을 첫 치료 때부터 사용하는 것이 빠른 단계에서 보다 깊은 효과를 달성해 결과적으로 약으로부터도 해방되기 쉬워진다는 것입니다.

 장거리 수영을 예로 설명하겠습니다. 환자의 A씨, B씨, C씨가 풀장에서 같은 스타트 라인에 서서, 같은 거리를 헤엄쳐 골인하면 BCR-ABL 유전자량이 0.1%이하가 되는 MMR(분자 유전학적 효과)을 달성할 수 있다고 합니다. A씨는 6개월 만에 헤엄쳐 MMR을 달성했습니다. 한편, B씨는 그 배의 1년 걸려 헤엄쳐 나가, C씨는 3배의 1년 반 걸려 골에 이르렀습니다.

 "헤엄치는 기간은 짧아도 MMR를 달성할 수 있는 거리를 헤엄치면 좋지 않을까"라고 생각하고 싶은 것입니다만, 만약 이 풀에는 상어가 숨어 있으면 이야기는 바뀝니다. 길게 헤엄치다 보면 그만큼 상어에게 습격당할 위험이 커집니다.

 이 때문에, 현재는, 초기 치료를 개시한 수개월간의 빠른 단계에서의 치료 효과(EMR:조기분자 유전학적 효과)를 보고, 약제의 변경을 검토한다고 하는 방침이 잡혀 있습니다. 구체적으로는, 이마티닙에 의한 치료 개시로부터 3개월의 시점에서 BCR-ABL 유전자가 10%이하, 6개월의 시점에서는 1%이 된다고 하는 EMR를 달성해, 한층 더 부작용에 대처해 내복 할 수 있으면, 그대로 이마티닙을 계속합니다 .한편 EMR을 달성하지 못한 경우는, 빠른 단계에서 약을 그만 두는 것을 전제로 하고 있다면, 제2세대의 닐로티닙, 또는 다사티닙으로 변경합니다.

 이마티닙과 닐로티닙, 다사티닙으로 비교하면, 약의 효과는 글리벡(이마티닙)을 1로 하면 닐로티닙으로 20배, 다사티닙으로 325배로 큰 차이가 있습니다. 이 때문에, 특히 연령의 젊은 환자의 경우는 제2세대의 약을 적극적으로 사용하는 것을 고려해도 좋을 것입니다.

 또 하나의 이유는, TKI에 의한 치료를 실시하고 있는 동안은 남성·여자를 불문하고 피임이 필요한 것입니다. 장래, 아이를 만들 희망이 있는 경우는, TKI를 단기간에 끝내고 싶다고 생각하는 것은 당연한 일이겠지요. 어느 20대 남성의 예입니다만, 다사티닙에 의한 치료의 결과, DMR에 도달해 약을 그만두고, 대학생이었던 그는 그 후 취직하여 결혼. 아이가 태어나면서 행복한 가정생활을 하고 있습니다.

이마티닙의 스톱 시험

 CMR를 얻은 후에 TKI에 의한 치료를 중지하는 것에 관해서는, 벌써 국내외에서의 검토가 이루어지고 있습니다.

 2010년에 프랑스에서 행해졌다. STIM시험(스톱 이마티닙 스터디)에서는 "이마티닙 투여로 CMR를 달성한 후 투약을 중단했는데, 2년 후에도 약 40%가 CMR를 유지하고 있었다."는 결과가 밝혀졌습니다. 지금까지는 치료를 중단하면 재발한다고 생각되어 "분자 표적제는 치료 효과가 인정되는 한 계속한다."라고 하는 것이 치료의 원칙이 되어 있었습니다. 같은 연구는 오스트레일리아에서도 행해지고 있고, 프랑스의 경우와 동등의 42%가 CMR를 유지하고 있었다는 보고가 있습니다.

 당 병원의 CML에 대한 TKI 중지 사례 16 건에 대한 검토에서는, 50%의 환자가 중지 후, 재발도 없이 경과하고 있습니다. 또 중지 후에 재발한 증례에서도, TKI의 투여를 재개하면 이전과 같은 효과가 나타나 있습니다.

만성 골수성 백혈병 약의 선택과 부작용

 약제 선택에 있어서는 부작용의 문제도 간과할 수 없습니다. 각 TKI 마다 부작용은 다릅니다(표 2참조).이 때문에 뇌경색이나 혈전증, 고혈압증 등, 다른 병을 겸비한 환자에 대해서는 합병증을 고려하여 약을 구분해야 하는데 TKI 중 부작용이 가장 온건한 것이 이마티닙입니다.

 정기적으로 시행되는 치료 효과 판정으로 약의 효과가 떨어지는 것으로 나타나면 유전자 변이를 검사하고 치료약을 변경합니다. 현재는 어떠한 유전자 변이가 일어나면, 어느 TKI가 듣지 않게 될지, 게다가, 다음의 치료에는 어느 TKI를 선택해야 할지가 밝혀지고 있으므로, 적절한 약제 선택이 가능해지고 있습니다(표 3 참조).

표2 TKI와 부작용

약제명 (제품명)

주요 부작용

이마티닙(글리벡)

부종, 근육통, 구역질

닐로티닙(타시그나)

심전도 이상 . QT연장, 췌장염, 고혈당, 간 장애, 혈관 유해현상, 말초동맥폐색

다사티닙(스프리젤)

흉수, 골수억제, 폐 고혈압, 출혈

보스티닙(보술립)

설사, 간 장애, 고혈압

포나티닙(이클루식)

혈관 유해현상, 췌장염, 간 장애, 골수억제, 고혈압

표3 유전자 변이와 선택해야 할 TKI(tyrosine kinase inhibitor)

유전자 변이

저항성을 보이는 TKI

선택해야 할TKI

T315I

닐로티닙, 다사티닙, 보스티닙

포나티닙

T315A、F317L/I/C

다사티닙

다사티닙, 보스티닙

Y253H、F359V/C/I

닐로티닙

다사티닙, 보스티닙

V299L

다사티닙, 보스티닙

닐로티닙

E255K/V

닐로티닙, 보스티닙

스프리셀

만성 골수성 백혈병 조혈모세포이식

 또한 TKI 모두 효과가 없어진 환자나, 부작용이 심해서 TKI를 계속 사용할 수 없는 경우, 혹은 진단 시에 이미 이행기나 급성기인 환자에 대해서는, 조혈간세포 이식이 검토되는 일이 있습니다. 이식하는 경우, 백혈구 적합항원(HLA)이 완전 일치, 혹은 일 항원 불일치의 기증자를 선택하는 것이 일반적이지만, 적절한 기증자를 찾아내지 못하는 경우도 종종 있습니다. 특히 HLA가 일치한 형제자매로부터의 "동포간 이식"에서는, 저 출산화에 따라 동포 기증자를 얻을 수 없는 케이스도 증가하고 있습니다. 거기서 최근에는, HLA가 반만 일치하고 있는 HLA 반 합치 기증자로부터의 이식을 시험할 수 있게 되고 있습니다.

 다만, HLA 반 합치 이식은, 혈연이나 골수 뱅크, 제대혈 은행에서도 기증자를 발견되지 않은 채, 그런데도 이식의 필요성이 높은 경우에 행해지는 것으로, 신중함이 요구되는 것은 말할 것도 없습니다.

프로필

오오하시 카즈테루 박사

1992년 도쿄 의과치과대학 대학원 수료. 그 후, 도쿄 의과치과대학 제1내과,

미국 텍사스 대학 휴스턴교 의학부 혈액내과 페로를 경험.

1997년 암 . 감염 병원 도립 고마고메 병원 혈액내과 의사

2012년 암, 감염증 센터 도립 고마고메 병원 혈액내과 부장

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